全国のアオミズイストの皆様お待たせいたしました。
本日ご紹介するアイテムは セキディスク (secchi disk) です。
セキディスク(secchi disk)って何なの?
日本語の場合、ワードを色々変えて検索しても全く出てこないですし
英語の secchi disk でも一切日本語ページがリストアップされませんので、これは日本では使われてないかもしれませんが、海外では水質に関する調査や研究をする方々や環境保護団体の方々の間でよく使われている水の汚れの度合いを調査する道具ですので写真や動画でこの独特の模様?をご覧になったことはあるのではないでしょうか。
青水に応用
これまで青水の濃度を判断するのに白いタイルを沈めて上から見えなくなったら水換えとかしてましたが、沈めたままでは周りにゴミが貯まったり、タイル自体に苔が付いてきて徐々に見えなくなったりして不便でした。
そんな時に海外の養殖場の仕事について書かれた本の中にセキディスクを使って池の水質調査をするというのを見つけました。 それから色々調べて最初は実物を海外のアマゾンから購入してみようとも思いましたが、サイズがどれも大きすぎて金魚水槽に使うには不便そうだったので小さなサイズのものを自作することにしました。
自作して使ってみたところ、セキディスクを自分で上下させて水深を調整しながら計測できるので(沈めたままのタイルと比べると)実用的で非常に便利でした。
セキディスクの使い方
使い方は簡単で水の中に少しづつ沈めてセキディスクが見えなくなったところの水深を計測するのです。
綺麗な水ならかなりの深さまでセキディスクが見えますが、汚れているとすぐに見えなくなる・・・
そのような単純な原理で水深を調査し結果を記録していく事で環境汚染のスピードが分かったり、他の水域と比較出来たりします。 これを今回は金魚飼育に役立てようというのが本日の記事の目的です。
セキディスクに独自の改良を加えてみた
通常は円盤に紐が付いているものを使います。
紐は束ねたりできるので何メートル分でもコンパクトに収納できますが、上下移動するだけならまだしも横移動が難しいという問題があります。
改良点その1 紐を棒に変更
僕の1番目の改良点はこの紐を棒に変更する事でした。
棒は思った位置に移動するのが簡単ですので水槽内でろ過器を避けてとか金魚を避けてという使い方が簡単にできます。
紐では狭い水槽内で取り回しが大変ですが棒なら楽勝です。
水深が深い場合は紐付きが便利だと思いますが、
金魚飼育では水深が浅いのでスティックタイプがお勧めです。
改良点その2 目盛りを付け加える
通常セキディスクに目盛りは付いていませんが研究者さんの中にはマジックで紐に目盛りをつけている方も居られます。
邪魔臭がりの僕は独自のアイデアとして2代目からは一目で水深が読み取れるよう目盛り代わりの定規を付けてみました。棒だと毎回水から出して深さを計測するのが面倒なので、最初は木の棒にマジックで10㎝毎に色を塗りましたが徐々に溶け出しているようなので使用を中止し、2代目は定規を取り付ける事でこの問題を改善しました。
定規を付けたので細かな深さを読み取れるので便利です。 これで一度出して長さを測るという手間が無くなりますし、セキディスクが見えなくなったところで撮影すれば画像として記録を残すことも可能になりました。
作ってみよう
今回ご紹介するのは3代目に関する作り方です。
これまでに2つ作りましたが、改善点が出てくるたびに別のアイデアを検討し、今回で3代目です。
色々考えて瞬間的にでも金魚の飼育水の中に入れるものなので
◆接着剤
◆塗料
は使わない方向で検討しました。
初代は油性マジックを使用してましたが使ううちに薄くなってきたので溶けだしている可能性があると判断し使用中止。2代目はクリーンに作りましたが、素材の選択が悪くて耐久性に問題が出ました。
これまで(初代と2代目)は海外のものと同じ形で作りましたが、1年近く使用してきて分かったのは要するに白と黒があれば使えるのでオセロとか碁石を使えば良いと考え今回は形を似せることはやめて別の作り方にしました。
トイザらスとかでこの為だけに大きなオセロゲームを買うのは勿体ないから100均かホームセンターで探そうと思い、まずは100均に行ってあっさり発見!
一応、対象年齢は6歳以上と右上に書かれていますので僕も対象に含まれるのですが、何故かレジに持っていくのはとても恥ずかしかったです。
最初はこれをグルーガンでくっつけようと思ってたのですが、この製品の材質がビニールのような粘りがあり180度回転した程度では取れないのでこのまま外さずに180度回転して白黒状態を作り使う事にしました。
作り方
1
2
3
4
使ってみよう
これを計測したい青水に垂直に入れて調査します。
確認する時は上下に揺らすように移動しながら見えなくなる水深を測って記録します。
注意 基本的には白い部分が最後まで見えるのでそれが見えなくなる水深を調べることになりますが、年間を通じて調査していると天気(光の加減)や青水の濃さの条件により黒い部分が最後まで見えるときもありました。 最初は白だけで良いかと思ってましたが条件によっては黒も役に立ちます。
最初は、ただの記録データですがデータが蓄積されると
皆さんの固有の条件
◆お住いの地域
◆飼育環境
◆飼育方法(餌や水換え)
◆季節
◆日光の当たり具合
◆金魚(数・大きさ・活性)
で
どんな濃さならベストなのか?が具体的なデータで判断できるようになります。
これまでなら
「おいしそうな緑茶の濃さ」
「グリーンティーのような色」
「抹茶に見えたら危険」
などあいまいな例えが指標になっていた青水飼育ですが
どのような形状でも良いのでセキディスクを作ってそれを使って可視限界水深を記録するだけで
「この季節なら水深何センチくらいまで見える濃さで維持すれば大丈夫」
のような事も具体的な数字を基準として理解できます。
また
「水換えで薄めすぎて青水が飛んでしまった」
という時もその水換え直後に計測していれば、次回からどの程度の濃さを維持すれば行けそうかという事が数値で分かるので、より具体的な判断基準を持つことが出来ます。
濃さの目安
僕の環境でのデータになりますが
@13cm
この記事で撮影している水槽は水深13㎝前後で見えなくなるほど濃いですが
ここには金魚は入れていません。
稚魚の餌や青水が飛びそうなときの濃度調整など
多目的に利用するために濃い状態でエアレーションだけして維持しています。
ちなみにここまで濃い青水に金魚を入れておくと天気の良い日に尾びれなどに気泡が出てしまいます。
@20cm
金魚が居る場合、20㎝以内で見えなくなるようでは少し濃すぎると判断しています。
気泡が出る程ではないかもしれませんが底のほうでじっとしている時間が長くなるとその後いろいろ起きるので、そのような行動を目にした場合は安全の為に少し薄めるようにしています。
@30cm
30㎝くらいで見えなくなる場合は季節や日光の当たり方、青水の古さなどで変わりますが
多くのケースで理想的な濃さと判断できる結果となっています。
しかし、水深30㎝くらいまでセキディスクが可視状態という濃さでは、
◆作りたての青水の場合
◆太陽光があまり当たらない場合(★特に重要)
◆温度が低い場合
は透明になる事がある濃さとも言えますので皆様の飼育環境でどのくらいがベストなのかはお調べいただき独自のデータベースとにらめっこしてベストな濃さというものを導き出してください。
※透明にならない濃さというのは季節によっても変わりますし、他にもpHなどの別要因も関係します。
そのような事ですので、あくまで参考程度に僕の環境での結果をご紹介しました。
※逆に、外飼いなどで太陽光が長時間あたり、青水の餌となる硝酸塩も金魚により増やされるような環境であれば、白く濁っている程度でも次の日には青水と言える色にまで変化する事もありますので、透明になるというのはあくまで(僕と同じ)室内飼育者の方向けの話です。屋外で飼育されている方は真逆の悩み(水を換えて薄めたのに次の日には元に戻る)があると思いますが、その解決にもセキディスクをご利用いただければ幸いです。
水深が浅すぎて計測できない場合
セキディスクを使って可視限界水深を調べる事で青水の濃さを判断する場合、通常利用では最低でも20㎝、出来れば30㎝から40㎝の水深が欲しいところでです。
稚魚飼育をタライやコンテナで行う場合、水深は15㎝前後となる事も多くこの程度ではセキディスクを底まで沈めても見えたままになります。
これはメスシリンダーのような細くて長い容器があれば解決します。
直接計測に比べるとひと手間増えるので少し面倒ですが
細長い容器に青水を少し移して、その中にセキディスクを沈めて調査するのです。
細長い理由ですが
細いと水量が少なくても深い水深を得られます。(太いとその分多くの水が必要になります。)
長いというのは水深が30㎝前後得られるような深さの容器であればよいという意味です。
簡単に手に入るもので言えばパスタケースとか麦茶を入れて冷蔵庫に冷やしておく入れ物(名前不明)などがあります。
最後に
非常に原始的な道具ではありますが、感覚的な色の濃さではなく数値に置き替えて比較する事が可能となりますので、今も水質調査に使われていて計測機器や薬品による科学的な水質検査と並んで重要とされているセキディスクです。 上手く使えば青水飼育にも有効なのではないかと思いご紹介させていただきました。
興味のある方は是非お試しください。