ろ過装置の選び方 (前編)【説明書には書かれていない長所・短所】徹底比較

説明書、製品ページには書かれない使ってみて初めて分かる問題点を中心にこれまでに使用した4種類のろ過フィルターに関して徹底比較してみたいと思います。

これから購入を考えている方に将来何が起きるのか想像していただけるように、気になる事を重点的に判断いただけるように、機種別ではなく項目別で書きます。

今回比較する4つのろ過装置の原理

比較の前に4つのろ過装置の仕組みや原理の簡単な説明です。

▲上部式フィルター

水中ポンプで水を吸い上げて上部のトレー上を流しながら重力でろ過槽を通過させてろ過し循環させる方式。 濾過槽が詰まると機能が大きく低下するものの濾材は他とは比較にならないほど多くバックアップに複数の大型濾材を使用しているので完全な機能停止は起きにくい。まさに安定感抜群のろ過フィルター。

▲投げ込み式フィルター

初心者から業者さんまで経験を問わず人気の高い濾過フィルター。 効率を最大まで上げているのでコンパクトなのに処理能力が高いという日本が生んだ傑作です。ただし水槽内に派手に目立つ本体の姿には賛否両論あり、嫌いな人は手を出さない代物。 僕も最初敬遠した理由はそれでした。 エアリフト方式と言う空気と水とその粘性を利用して水流を作る方式なのでパワーが非常に弱いです。 その為メンテナンスを怠ると処理能力が劇的に落ちます。 ただしその場合機能停止してしまう中国式スポンジフィルターとは違い幾つかの水の逃げ道ルートやバックアップが設計されているので多少であれば機能停止しないので安心です。

▲外掛け式フィルター

初心者が最も多く購入すると言われているタイプ。 僕も一番最初はこれを買いました。 でも使いこなすには少しコツが必要なので安定維持するには慣れが必要。特に濾過槽を清潔に維持する事が少し難しいので小まめな手入れが不可欠。 それさえ正しく行えば比較的安全。 吸い上げた水を背後のボックスに流し込みその水位でおきる水圧だけでフィルターを通過させる方式なので今回ご紹介の4つの中では最弱で信頼性も低いです。 簡単に言えばろ材が詰まる事になれば直ぐに上部からオーバーフロー(ショートカット)してしまい設計通りの経路を水が流れなくなるのでろ過能力が劇的に落ちます。

▲水中ポンプ式フィルター

海外では人気トップ2に選ばれることもあるのに日本ではあまり人気が無いろ過フィルターです。個人的には馬鹿でかい海外製品よりもコンパクト設計で信頼性が高い日本製が好きです。 今回ご紹介の4つの中では最もパワフルでメンテナンス不足に強いです。 他の方式の多くは水中ポンプを水を吸い上げる事だけに使いますが、このろ過装置だけはフィルターに水を通すことにポンプ圧を使いますのでフィルターの詰まりに強く最強です。 今回は出てきませんが、同じ方式の例として外部式フィルターと言うものもあります。 ただしこのパワフルさが原因で悲しい事故が起きる事もあります。普段は何の問題もないですがフィルターが詰まりだすとそれまで分散していたポンプの圧が1か所に集中する事があり危険です。小さな金魚を飼育する時は吸い込み口付近のクリアランスを十分に確保し背面の吸盤は1つ残らず取り付けて使用してください。吸盤取付用の穴までも強烈な吸引力を発生する凶器になります。 これら注意を怠ると悲しい事故が起きる事があります。

ランニングコスト

1年のコスト 電気代 交換ろ材
上部式フィルター (水中ポンプ)7W 1594円 ウールマットx6枚 200円
投げ込み式フィルター (エアポンプ)2.5W 569円 交換ろ材Lx1個 500円
外掛け式フィルター (水中ポンプ)6W 1366円 交換マットx3枚 450円
水中ポンプ式フィルター (水中ポンプ)8W 1822円 交換ろ材x1個 250円

※1か月ではなく1年のコストを出しています。
※電気代は24時間365日の使用で東京電力のレートで計算しています。
※投げ込み式フィルターだけは別途エアポンプが無いと動きません。
※エアポンプは水作 水心 SSPP-7Sを使用する前提で計算しています。
 (他メーカーでも最小のものを選んでいただくと大きく違わないと思います。)
※60㎝水槽で使用する想定です。

※購入する製品で値段は変わります。
 上記はあくまで目安とお考えください。
 同じ色のグループは大体同じ、色が違うグループには差がある・・・くらいにお考えください。

※別途エアレーションを追加する場合はそのコストも必要です。

電気代が最も安いのは


ランニングコストで圧倒的に有利なのは投げ込み式フィルターです。
上記の例は1本の水槽に対してのコスト比較ですが、エアポンプS 1つで2本くらいの水槽は余裕で対応できます。 水深が浅ければ3本4本対応可能です。 そう考えれば電気代は更に安くなります。 それ以外のものは各水槽に1つの水中モーターが必要なので水槽が2本になれば電気代は倍になります。
節約に興味のある方、経済学に詳しい方なら分かると思いますが、長期的に見ると莫大な金額差になります。

水槽が1本ならランニングコストの差も大した問題ではありませんが6本10本と多くなる場合は投げ込み式フィルターがお得です。
僕は殆どの水槽をこれで維持しています。(一部は自作水中ポンプ濾過装置を使用)

交換ろ材のコストと周期

交換ろ材は、次々に交換する方と洗って何度も使う方でコストが大きく変わりますが、僕は洗って使う派なので、交換枚数(個数)は少なめで計算しています。 
この部分で特筆すべき安さを維持しているのは上部式フィルターに使用されるウールです。

ろ材専用の加工が一切なく素材として大量生産され大量に流通しているので60㎝上部式フィルター装置用にカットしたものであれば1枚が20円から40円で手に入ります。ただし耐久性は最も低いので適度なタイミングで交換しないとどんどん小さくなり濾過能力が落ちます。(と言っても他の装置の数倍の余裕があるので隙間さえ出ないようにしておけばOKです。体積が小さくなり隙間が出るようなら間を埋めてください。)

同じ方式でもメーカーにより差がある


更に細かな話ですが、投げ込み式フィルターは現在4社ほどのメーカーから販売されていると思いますが、これまでに3社のものを使って分かったのが、水作エイトだけ濾材が硬くて耐久性のあるもので出来ている事です。

これだけは長期的に交換せずに洗って使用できますが、他社はどれも数回洗うと、その度に形が崩れて小さくなるので交換しないと能力が落ちてしまいます。 ここでは水作エイトを例にしてコスト計算しています。

設置関係

設置場所 水槽内に見えるもの
上部式フィルター 水槽上部の半分を占拠 水中ポンプ&ストレーナーと排水口
投げ込み式フィルター 水槽内 本体とエアチューブ
外掛け式フィルター 水槽上部の一部と水槽背面のスペースを利用 ストレーナーのみ
水中ポンプ式フィルター 水槽内 本体と電源コード

注意が必要なケース


上部式フィルターは水槽の上半分がふさがるというデメリットがあります。同時に観賞魚用のボックスタイプのライトを使用する場合は上が完全にふさがってしまうので餌を与える度にライトを移動するなど手間になります。 上部式フィルターを選ぶ時は上部がふさがりがちなのでライトの形状など他の装備も良く検討する必要があります。

インテリア性にこだわる方へ

美しさを重視する場合に最も大切なのは水槽内に何が見えるかです。
シンプルなパイプが1本だけとかなら綺麗ですが、エアレーションのチューブとか電源のコードとか、大きな丸い塊とか、どのろ過装置を選ぶかで水槽内の見た目が大きく変わります。 インテリア性を重視される場合は他の条件をすべて無視してでもこの点でベストなものを選ぶことになると思います。
基本的に気になるものが全くないという状態は水槽ごと改造しないと無理ですので、ここでは市販のろ過装置の中で選ぶという前提で言えば、この記事の4つには含まれませんが 外部フィルター と呼ばれる種類のものが水槽内を綺麗にみせられます。 ノーマル使用のままでもかなりシンプルですが、最もこだわる方々の例として水草水槽のレイアウトを趣味とされている方々の例を検索すると良いです。 ガラスパイプなどを別途追加し更に水槽内が美しくなるように工夫したりされています。

記事の4つの中では上部式フィルターが最もすっきりとして綺麗です。

また外掛け式フィルターも背面に凸凹したものが出ますが、前から見た状態だけで言えばかなりすっきりしています。

多くの方が問題視されるのが投げ込み式フィルターと水中ポンプ式フィルターではないでしょうか。

これらは本体がそのまま水中に見える状態なので美しさで言えば最悪と言えます。 僕はもう見慣れたので気にしませんが気になる方は岩とか水草でカムフラージュして隠したりしておられるのをよく見ます。
ですので美しさへのこだわりが強い方はこの点をよくご検討ください。

見た目を気にされる方でオールガラス水槽を選ぶという方は以下に気をつけてください。 

オールガラス水槽での使用
上部式フィルター 不可 水が外に流れ出すことがあります
投げ込み式フィルター 使用可能
外掛け式フィルター 設計は枠付きを基準としているので傾いたりするため取り付けに工夫が必要
水中ポンプ式フィルター 使用可能

ここでは特に上部フィルターとの組み合わせにご注意ください。
僕はこの事を知らずに設置して最初は問題ありませんでしたが、一旦上部式フィルターの底に水の通り道が出来ると1時間も経過することないくらいで、そこそこの大きさの動物がおしっこたれたみたいな水たまりが出来て焦りました。まだ僕自身そんな歳ではないし・・・。で、よく見たら上部式フィルターが犯人だったので即座に撤去しました。 直ぐに発見できた事と自分が漏らしたのではなかった事の2重に安心しましたが、外出でもしていたらと考えると怖いです。3日間出張とか、かなりのチャレンジになります。
これは改造したり、アクセサリーを購入して予防できますが長期的に安心かと言われるとどの方法も枠付き水槽ほどの安心感は無いので検討の際はご注意ください。

メンテナンス周期

メンテナンス周期
上部式フィルター 2か月
投げ込み式フィルター 1か月
外掛け式フィルター 1か月
水中ポンプ式フィルター 2か月

安全側の周期

与えている餌の種類や量・糞掃除の頻度で大きく変わるのでこれは僕の現在の飼育をベースにした目安ですが、殆どの場合、上記よりもはるかに長く放置しても大丈夫です。ただし、運悪く病気が出やすい条件が重なると問題化しますのでそれを予防する目的で短周期で確認をしたほうが安心です。 上記周期で中を開けてろ材にヘドロが溜まっていないか確認し酷いようなら軽く歯ブラシで落としてから元に戻すなどをして健全に維持すると安心です。これは濾過フィルターに正しく水流が起こり酸素がいきわたるようにする目的で行います。 ただし餌を大量に与えている方や過密飼育してる方は更に短周期でメンテナンスが必要だと思います。

※エアレーションは水中に酸素を取り込む行為ですので、それだけでは酸素を全体にいきわたらせる事まではできません。 濾材のメンテナンスが適切でないとエアレーションを幾ら行っても水流が止められてしまい酸素がいきわたらない場所が出来てしまいます。(放置すればいずれ病気の発生源となる場所です)

分解洗浄の周期

また上記周期の2倍(遅くとも3倍)の時期に分解洗浄をしたほうが良いです。僕は平均1.5カ月に1回、投げ込み式フィルターを分解洗浄しています。

分解洗浄は簡易リセット(クアランティン)を目的に行うもので、どの種類のバクテリアであれ過度に蓄積しているかもしれない可能性を一旦クリアして安全なバランスで再スタートすることが最大の目的です。 これで多くの病気や問題を予防できます。
分解洗浄の時装置やパーツは綺麗に洗いますが、濾材は軽くリンスする程度で十分です。 ろ材を新品みたいになるまで洗うと条件次第ではリセットになります。

メンテナンス周期に関して
上記の周期は僕が飼育中に問題が出る度に厳しく見直してきてようやく安心できると判断している周期です。 もっとゆるい周期で問題ない方も多いと思いますが10回中9回大丈夫でも1回上手くいかず金魚に問題が出ると言うのが嫌で、10回中10回安心して飼育できるほうが良いのでこのようになりました。
ですのでこれでは短すぎるとお感じの方は、ご自身の環境で安心できるメンテナンス周期を見つけていただければと思います。

青水飼育の場合
青水飼育していると糞の分解が早いのでメンテナンス周期は1.5倍から2倍ほどに延ばすことが出来ます。ヘドロの問題に関しては年間を通じて殆どセロを維持する事も可能ですが、バクテリアのバランスなど他の条件がありますので、適度に簡易リセット(クアランティン)をしたほうが良いので1年以上放置とかは良くないですが、殺菌効果も透明水より高いので太陽光などの条件が整っていれば長めでも安心です。(ただし過密飼育や餌を多めに与えている場合は別の問題もあるのであまり長い周期は良くないです。)

分解洗浄の手間

パーツ数
上部式フィルター 非常に多い
投げ込み式フィルター 少ない
外掛け式フィルター 少ない~普通
水中ポンプ式フィルター 少ない

洗浄するパーツの数や形状が重要


ここでは上部式フィルターが突出して洗う作業が手間です。1台ならまだしも3台4台となるとかなりの労力なので「明日しよう」の繰り返しで先延ばししやすくなります。 

気になったら数分で洗えるような他の濾過装置と比べると1つ洗って元通りに組み直して設置しなおすまでに10分から20分かかるハンデは心理的に大きなものになりやすいです。1台ならまだしも4台となると1時間を超えますのでもはやバイトです、労働です。 勿論掃除が好きで細部まで丁寧に楽しみながら手入れできる方には苦にならないと思いますが、僕に似た性格の方は2台3台と所有するようになるタイミングでこの事を思い出していただくと押入れの肥やしが増えずに済みますw それ以外の方や1台だけ購入予定の方は問題ないと思います。

細かなパーツの存在

更に言えば水中モ-ターがあるろ過装置はヘッドの小さな歯ブラシでも中に入らないのでその掃除専用に加工した歯ブラシか別の細長いブラシが必要です。

ナイロンたわしでも丸めて差し込めば洗えますが硬めのブラシがあるほうが楽です。手間な事をより手間な事にするのではなく最初に掃除道具一式をそろえてラクラク楽しいメンテナンスにしないと長期的に維持するのが嫌になります。

シンプルイズベスト

参考までに これまでに使用したろ過フィルターで最も洗いやすかったのは ろ過ドーム です。

角が無い丸いデザインは本当に洗浄関連では手間や時間をとりません。できれば各社ともに日頃から洗浄が必要なものは角の無い丸いデザインに変更してほしいくらいです。 出角はまだしも入角は本当に手間です。

業者さんは塩素で苔落とし

ここまでに書いているのはナイロンたわしと歯ブラシでゴシゴシ洗う場合の話ですが、金魚屋さんなどは大きなバケツに水を入れてその中にハイターをキャップ1杯計量したものを入れてろ過装置を分解したものをドバドバと沈めて1日2日放置してから洗浄するそうです。 こうするとゴシゴシしなくても苔が落ちるので新品のようになります。 過去に何度か試しましたが大量(一度に10個ほど)の水作エイトを洗う時はラクでした。
ゴシゴシしないからアクリルボディに傷も付きませんし長期的にピカピカで維持できます。 ただし僕は慣れていないのでどのくらい洗い流せば塩素が消えるのかなど分からず何度もリンスしてから組み立ててバケツの中で動作させその水の塩素量を検査薬で確認して大丈夫だったのでOK・・・みたいに洗浄は楽でしたがいろいろ気になる事があり、一度に大量に洗うとき以外はゴシゴシ洗うほうが気が楽だと感じています。 いいアイデアだとは思いますが、心配性の僕には別の作業が増えるので向いていないようです。 一度に沢山洗浄するという方には塩素の検査まで含めても合理的な選択肢の1つだと思います。

ここまでで約半分ですが、全文掲載すると文字数が1万を超えて長すぎると判断し2つに分けました。
<続きは次回お送りします。>

2件のコメント

  1. こんにちは〜
    私は外掛けFだけ使ったこと無いのですが・・・(上部Fメインで他はサブ) 判りやすくて助かります〜(^^
    疑問や思ってることがスッキリと表現されてるからだと思います♪

    水中P式って小さいのに意外と強いな〜 って思います。 90センチのスリム(80L)水槽へ1個でも、なかなかの状態をkeepできてました♪

    次回も楽しみにしています〜 (^^

    • azzaroさん こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      そうですよね、水中ポンプ式って思ってるよりも強いので怖いですよね。
      僕は大・中・小のポンプを買って比べたんですが大は吸い込み口をかなり大きめにデザインしないと吸引力が強すぎて設置前に電源入れたらそのままミサイルみたいに水槽内をブシューッツって移動して壁にピタってくっつきました。
      金魚が居たら大惨事だと思うとゾッとしました。
      小でも詰まると凄いので、もう一段階小さいのが欲しいです。

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