【国土交通省】マンションの修繕積立金に関するガイドライン


平成23年4月に国土交通省から出された マンションの修繕積立金に関するガイドライン に関して簡単にご説明いたします。 

修繕積立金に関するガイドラインが出された背景

もともと自由に決めることが許されている修繕積立金の金額を国土交通省がガイドするというのは異例のことに思えますがその背景には放置できない問題の存在があります。
マンションを販売する業者さんがマンションの本体価格だけではなく管理費や修繕積立金も設定したうえで購入者が購入後の月々の生活が判断できるようにしています。 これはあくまで仮の管理費、仮の修繕積立金であり管理組合発足後直ちに見直すことが重要ですが、残念ながらそこまでする管理組合さんは少ない為、そのまま変更なく運用され10年以上経過してから問題に気付かれることがしばしばと言えます。
ここで特に大きな問題となるのが修繕積立金の金額が異常に低く設定されて販売されている場合です。
マンション販売業者さんの中には購入者に割安感を与えようと異常に低い修繕積立金を設定している例があり、近年それが多発している状況です。
そこで国土交通省が購入予定者に向けて警告を発するために平成23年4月に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を出したという訳です。
このガイドラインは購入予定者だけではなく既に購入されたマンションの積立金が妥当かを確認する目的でも使用できますので、本記事では購入予定者様のみではなく既に購入された方も含めて使い方をご説明します。

修繕積立金に関するガイドラインの使い方

《1》まずは該当する単価を探します

まずは国土交通省が考える妥当な金額とは幾らなのか?
皆様のマンションはその金額以上なのか?以下なのか?
以下の手順でご確認いただきたいと思いますので、まずはその説明から行います。

以下の表を見てお住いのマンション又は購入予定のマンションが該当する階数/建築延床面積の右横に記載されている平均値の金額をご確認ください。
※その右横の数字も使うのですが、まずは手順が分かりやすいように平均値だけで説明させていただきます。

専有床面積当たりの修繕積立金の額
階数/建築延床面積 平均値 事例の 3分の2 が包含される幅
【15階未満】 5,000 ㎡未満 218 円/㎡・月 165 円~250 円/㎡・月
5,000~10,000 ㎡ 202 円/㎡・月 140 円~265 円/㎡・月
10,000 ㎡以上 178 円/㎡・月 135 円~220 円/㎡・月
【20階以上】 206 円/㎡・月 170 円~245 円/㎡・月

<手順1>マンショは何階建てですか?
注意 これはお住い又はご購入予定のお部屋の階の事ではございません
建物が何階建てのマンションかという事です。
(最上階は何階ですか?エレベータは何階まで数字がありますか?という質問だとお考えください。)
本表で【15階未満】というのは45m級までの一般的な構造のマンションとお考えください。
本表で【20階以上】というのはタワーマンション等とお考えください。
15階以上19階以下のマンションは事例が少ないためガイドラインでは明示を避ける形となっておりますので【15階未満】と【20階以上】の間の数字を割り出してご利用ください。

<手順2>次に延べ床面積をご確認ください
注意 マンションの延床面積とはマンション全体の床面積の事です お部屋の床面積ではございません 該当マンションの広告やパンフレットをご覧いただければ延べ床面積として記載されています。
◆【20階以上】に該当する方はマンションの延べ床面積に関係なく
206 円/㎡・月 です。

【15階未満】に該当された方はマンションの延床面積により以下の3つからお選びください。
◆延床面積が5,000 ㎡未満なら
218 円/㎡・月 です。
◆延床面積が5,000~10,000 ㎡なら
202 円/㎡・月 です。
◆延床面積が10,000 ㎡以上なら
178 円/㎡・月 です。

《2》次に該当のお部屋の床面積をご確認ください

こんどはマンション全体ではなく該当のお部屋だけの床面積です。
通常は専有部分面積と表記されています。
契約書や購入時のパンフレットに記載のお部屋の床面積をお調べください。
※購入予定の方は新聞広告やパンフレットに記載されています。

《3》最後に機械式駐車場に関してです

◆機械式駐車場が無い場合は 《3》= 0 円 として次にお進みください。

◆機械式駐車場が有る場合は以下の表から該当台数分の金額を算出してください。
機械式駐車場の修繕工事費 の該当部分の金額 x 車の台数 = 《3》となります。
種類が複数以上ある場合は該当種類ごとに台数をかけて最後に全て合計してください。

機械式駐車場の 1 台あたりの修繕工事費
機械式駐車場の機種 機械式駐車場の修繕工事費
(1台当たり月額)
2段(ピット1段)昇降式 7,085 円/台・月
3段(ピット2段)昇降式 6,040 円/台・月
3段(ピット1段)昇降横行式 8,540 円/台・月
4段(ピット2段)昇降横行式 14,165 円/台・月

《4》計算

《1》x《2》+《3》を電卓等で計算してください。
これが該当するマンションのお部屋に関して国土交通省が推奨する月々の修繕積立金の目安の金額です。

計算結果の評価

いかがでしょうか? 安心できる金額でしたでしょうか?
この結果で安心したり落胆したりされるかもしれませんが、これはあくまでガイドラインであり目安です。
1つ目の表 専有床面積当たりの修繕積立金の額 の右端の項目に事例の3分の2が包含される幅という項目がございます。基本的にはこの範囲であればまずは妥当であると国土交通省のガイドラインは示しております。しかしながら私は後半に起きるであろう問題(建物の問題と管理組合の問題両方)により修繕資金が不足すると考えておりもう少し必要なのでは?と考えております。 その根拠の詳細は今後1つ1つ記事に書かせていただきます。

更に
このガイドラインはあくまで以下のような限定要素の範囲で作られており、以下に書くことに十分ご注意ください。

ガイドラインでの国土交通省の想定範囲

◆新築時の計画期間が 30 年の場合までの修繕を想定。
 修繕周期がこれを超える修繕工事項目は盛り込まれていません。
◆長期修繕計画作成ガイドラインに示す主要な修繕工事項目
(19項目、ただし機械式駐車場は除く)が含まれております。

つまり築後60~80年維持したい場合に必要な配管や外壁の完全更新に関わる工事金額は含まれないので長期運用が目的の場合、このガイドラインの金額では全く足りないことになります。
ですので、このガイドラインの金額前後であれば30年程度までの繰り返し行う基本的な修繕だけはカバーできるだろうとお考えください。 その点からもこのガイドラインの金額より低い金額設定の場合はできるだけ早く一級建築士に内容を確認してもらってください。
例えば12年目に1回目の大規模修繕をする際に初めて発覚した場合、幾つかの重要な修繕項目が予算不足で実施できないことがあります。

最後に

本ガイドラインではそれぞれの想定規模に於ける平均的な条件のマンションに対して妥当な金額となるように設定されています。

30戸、40戸という小規模なマンションではこの算定結果を超えていたとしても2回目か3回目の修繕でお金が不足する可能性があります。 逆に(都心の一等地ではなく)郊外にあるタワーマンションで規模が大きい場合は206 円/㎡・月は少し過大評価かもしれませんが、逆にタワーの場合は通常の2倍の修繕費がかかるという実例もあるのでそれぞれのマンションの状況ごとにご判断ください。

更に、これは基本項目だけですので、温泉やプール、その他特別な施設や装備が付いている場合はその分を計算して加えないと足りなくなります。 同様に断熱性能の向上や結露の防止など生活環境の改善の為の改修(グレードアップ改修)まで視野に入れるには予算不足になりますので更に追加の必要があります。

また、一等地に建つ場合と郊外に建つ場合でも修繕費に差が出ますし、環境工学に適うデザインのマンションと凸凹したマンション(バブル時代に流行したデザインなど)でも修繕費は大きく違います。後者は修繕費が高価になりやすくひび割れなどのトラブルも前者に比べて多く出ますのでより高い費用が必要になります。

このようにマンションごとに条件は多岐にわたりますので、妥当性をご判定の上問題がある場合は、可能な限り早い段階で長期修繕計画書を見直していただき、修繕積立金を正しく設定しなおしていただく事が大切です。